【教育コラム】4,高み目指す素晴らしさ

読売新聞(三重版・愛知版)掲載「伊藤奈緒の受験ABC」2021年8月1日

 いよいよ東京五輪も佳境です。開催については賛否両論、多数な意見があることは承知しておりますが、多くの困難を乗り越えて必死に闘う選手たちを見ると、熱い思いがこみ上げてくるとともに、実社会に通ずるたくさんの学びがあると私個人は思います。


 挙げればキリがありませんが、たとえば、今回新種目となった卓球混合ダブルスで日本を金メダルに導いた、真にイノベーティブなフォーメーション。伊藤美誠選手がフロントに出て水谷隼選手がフォローバックに入るという互いの強みを生かした戦い方には、ジェンダーフリーによる新しい協働のあり方を見る思いです。
 また3大会ぶりに正式競技に復帰したソフトボールの金メダルに貢献した上野由岐子選手は、目標を持って粘り強く努力し続けることの大切さを教えてくれました。このように、スポーツは私たちを魅了し、とても感動を与えます。それはなぜなのでしょう?


 今回の五輪のように力の拮抗する相手との一進一退の激戦を制するには、単なるスキルだけではなく、心身に備わる力を総動員することが不可欠です。そのために選手が積み重ねてきた努力の大きさは、競技を通じて私たちの心に突き刺さります。
 高い目標にチャレンジするために、懸命に努力と創意工夫を重ね、成長していく人の姿を目の当たりにすると、私たちもまた高みを目指して困難に打ち勝っていこう!という意欲が湧いてきます。それが感動の源となるのでしょう。この感動こそ、私たち自身を成長させる原動力です。


 人のがんばる姿が他の人をモチベートしていくことは、スポーツに限らずどんな世界にもあてはまる普遍的な現象です。いま、一生懸命に勉強している子供たちが、オリンピックで戦う選手たちの姿を見て、改めて心にやる気の火をともしてくれるとうれしく思います。